生体機構学とは
動物体内では細胞を中心に各組織が形成され、その組織をもとに肝臓、腎臓、心臓などの様々な臓器がつくられ機能しています。また各臓器は多様なネットワークを構築しながらその機能を発揮し、生命活動を営みます。生体機構学分野では各々の臓器に焦点をあて、その解剖組織学的特徴や生理学的機能を十分に理解することを、研究の基盤としています。さらに環境的要因や遺伝的要因により各臓器が異常を来たした時の変化、つまり病態生理学的機構についても研究を行っています。研究に使用する動物は、マウス、ラットなどの実験動物からブタ、ウシなどの家畜まで多岐にわたります。

主な研究テーマ
【1】代謝性疾患モデル動物を用いた病態生理学的変化の解析
糖尿病や肥満の動物モデルの腎臓、肝臓、膵臓、筋肉、骨などの臓器について、生理学的、薬理学的および病理組織学的手法を用いて、その病態生理学的特徴を解析しています。また、各動物モデルにWestern Dietや食塩水を与え、その病態変化を解析しています。

【2】高機能性成分を活用した動物の生理・免疫機能の改善
動物や家畜は環境の変化によって、生理・免疫・生殖機能に異常をきたすことがあります。そこで食品や飼料中に含有される機能性成分を活用して、哺乳動物の生体機能に及ぼす効果を生化学的、病理組織学的および分子生物学的手法で解析します。
・β―カロテンによる新生児の腸管免疫改善法の開発
・妊娠・泌乳マウスのカルシウム代謝に及ぼす植物エストロゲンの影響
・アスタキサンチンによるウシ初期胚の暑熱ストレス緩解効果

【3】哺乳動物の繁殖機能を支える因子の解析と有効利用法の開発
現在、家畜が高能力化する一方で、繁殖効率の低下が家畜の生産性向上を阻害しています。そこでこれらの過程に関与する因子を解析し、繁殖効率の改善ならびに繁殖障害の回避法を開発します。
・卵巣形成・機能に関与する因子の解析と卵母細胞の保存・発育促進法の開発
・哺乳動物着床前胚の発生と分化に及ぼす環境因子の影響の解析